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2013年1月29日

【藤井聡】大問題

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FROM 藤井聡@京都大学

先ほたまたま、京都の新幹線のホームで、
大学の先輩にばったりあって、
立ち話をしました。

彼は港湾研究をずっとやっている方で、
今日も東京に行って、
港湾関係の会議等々に複数出ると
おっしゃってられました。

。。。。で、当方、港湾といえば、
南海トラフ地震が来たとき、
日本の「港湾」がほとんど「アウト!」になる、、、、
だから、日本海側にきちんと
バックアップ港湾つくらなきゃならない。。。
という事をいつも考えて、
あちこちでお話したりしておりますので、
グッと詳しいところも含めて、
あれこれお話伺いました。

例えば、大阪湾ですが、
ここだけで、日本の港湾の取引量の四分の一が集中しています。

が、南海トラフ地震が起こると、
(高さはどれくらいか不確実性はありますが)
間違いなく大阪湾は津波に襲われますから、
ここは使い物にならなくなる見込みがメチャ高いです。

全部壊滅するかどうかは分かりませんが、
津波直後は、しばらくは全く使えなくなることは仕方ないところです。

で、その被害が激しければ、数ヶ月、数年と使い物に
ならなくなってしまいます。

ですから、日本の貿易を続けるためには、
大阪湾以外の港湾で、取引をしなけりゃぁいけません。

ですが、大阪湾以外ってどこにあるかっていえば、
そりゃもう、名古屋だったりするわけですが、
そこも、南海トラフ地震で「アウト!」になってるわけですから、
はっきり言って、どこにもありません。

だから、南海トラフ地震でも被害を受けない、
日本海側に大きな港湾をつくっておいて、
太平洋側で「まさか」の事が起こった時には、
バックアップとしてつかえりゃいいのですが。。。。
今のところ、それは全く使い物にならないんです。

例えば、大阪や名古屋に近い港湾で、地理的に良い港湾は、
敦賀や舞鶴です。

ですが、そこでの現状での取引量は、
大阪湾の港湾のたった「数パーセント」程度なのです!

で、敦賀や舞鶴以外の他の日本海側の港湾も、
結局、どこも似たり寄ったりです。

だから、太平洋側で取引してた者を全部、
日本海側でやっていこう。。。。なんてことは、
現状では、絶対無理なんですね。

ってことで、南海トラフがきて、
大阪港も名古屋港も「アウト!」ってなっちゃったら、
そこで、日本の貿易全体も「アウト!」ってなっちゃいます。

日本の外需依存度は諸外国に比べれば低いとは言え、
日本人の暮らしと産業にとって、
貿易が「アウト!」になっちゃうと、
日本そのものも「アウト!」になっちゃいます。

だから、日本海側に本気でバックアップの港湾を
つくらにゃいかん訳ですが。。。。。。。。

で先輩に聞いてみました。

F「そんなの、ちょっと考えりゃ誰だって何とかせにゃいかん、
って分かるんじゃ無いんですか?」

先輩「そうなんよ。そやけど、マジで、
誰も考えてへんかったんよ。
『南海トラフ来たらどうするんですか?』
って聞いたら、みんな
『そうやなぁ。。。。困ったことになるなぁ。。。。』
って言うだけなんよ(大笑)。」

。。。。って言うのが、日本の実態の様です。

「これが先進国か!」っていうくらい、
ホント、ムチャクチャな話ですよね(苦笑)

そもそも、日本海側にバックアップの港湾整備を、なんて事言うと、
「ばらまきを、またするのかぁぁぁ」
だの、
「田舎に投資しても無駄じゃ無いのかぁぁぁ」
だの
「そんな田舎に港作っても、馬鹿高い釣り堀ができるだけじゃないかぁぁぁ」
だのと言われてしまって、結局、何もしないまま、時間だけが
過ぎていくというのが、これまでの日本だったわけです。
(#で、今も、その状況はほとんど変わりない)

ホント、このままだと、
この国がメチャクチャにならない未来を想像するのが難しそうです

ちなみに、この港湾の問題は、
地震によって生ずるめっちゃくちゃ多様な被害の内の、
たった一つの問題にしかすぎないんですが。。。。

。。。。。ということで、
皆さんもたまには、「__が起こったらどうなるか?」なんてことを、
毎日一回は、考えてみてくださいね。
#ちなみに「葉隠れ」によると、昔の真っ当な武士ってのは、
毎朝毎夕、そんな事してたそうですよ。

では、また来週!

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南海トラフ地震が来たときに、どうすりゃいいのか。。。。
そんなことを考えたければ、「列島強靱化計画」をまとめた
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【藤井聡】大問題への7件のコメント

  1. 道下弘子 より

    知らぬふりが一番よくないですね。大地震の”予定日”をタブーにしてはいけないのに、「自分に関係ない」、「そのときのこと」と、行政は思考停止しているのが現状だと、私も思います。(;へ:)大阪市では、河田先生を「脅迫観念」を植え付ける輩として、嫌っている人が多くいるようです。昨日のNPO地域デザイン研究会のフォーラムで(発言時間が少なかったので)「タブーにしたらあかん」とだけ、言ってきました。また、首長のアクションは極めて重要なので、大震災での首長の「知恵」を情報収集しています。今後とも、よろしくご教示くださいませ。

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  2. 高橋 信雄 より

    企業では BC/DR(事業継続・災害対策)が行われていないと受注(特に海外受注は必須です)が出来なくなってきております。理由は、企業が被災したからお客様に納めた製品のメンテができませんなどという企業からは買ってもらえないのです。BC/DRのポイントは災害に備え遠隔地に予備システムをおき拠点間のデータ冗長化をおこなうものですが始まった当時はなかなか理解されてもらえなかったことを思い出しました・・・ 参考:http://www.networld.co.jp/solution/bcdr.htm

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  3. 笑菫 より

    バックアップを残すのは、香川県がお薦めです。  台風も地震も津波も、結構、安心なところですよ。  香川県在住

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  4. SimonOgura より

    以下は藤井批判に非ず、批判に擬したエールです。最適解は、「ばらまきを、またするのかぁぁぁ」という批判的な視座と、「なにもしない」という優柔不断な視座の間にあるんですよね。最適解は智慧を出してこそ求め得るものだから。「あれもやる、此れもやる」というのは、智慧のない証しですね。草々

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  5. 宮田万里子 より

    女性なんで、堅い事は、表に出したくないけれど、嫌なものは嫌なので・・でも、南海トラフの津波の防波堤、何メートルの高さにしたらいいとお考えですか?東北の津波は22M位でしたっけ?

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  6. 眞原 誠 より

    私は、阪神淡路大震災の時に、名古屋の港湾倉庫で仕事をしておりました。その時は、最新の自動倉庫を稼働させた直後だったこともあり、もともと残業が多くなってはいたのですが、震災後、神戸の荷を名古屋でも引き受ける事になり、私が居た倉庫でも、荷捌き量が1.5倍ほどになり、仕事量は、2倍に膨れ上がりました。半年以上、午前8時〜翌日午前1時とか2時の業務が続きました。南海トラフで、もし、神戸、大阪、名古屋がアウトになってしまうと、日本は本当に”アウト”になると思います。普段、たいして使わない物を”備え”として保有しておく事は、現代の人たちには直感的に理解出来ないのだろうとは思いますが、港湾については、大型船が入港できるように深度を深くしたり、瞬間的に荷捌き量を上げられるように、ガントリークレーンの性能を上げたり基数を増やしたり、、近くに予備のコンテナヤードを設けたり、という、スペックアップを果たすだけでも、かなりの備えになると思いますし、”無駄”といった感覚を呼び起こす景観にはならないと思いますので、是非、進めて頂きたいと思っております。あ、タンカーのような、油類はイメージが湧かないのですが、むしろ、こちらの方が重要だったりしますね。

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  7. ルル より

    やはり武士道ですね。己の忍耐を磨きいかなることにも動じない精神を磨き上げ、忠誠心も強い。精神的に強靭だった時代も取り戻さなくてはいけませんね。

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