アーカイブス

2015年11月30日

【三橋貴明】緊縮マシーンと化した財務官僚

FROM 三橋貴明 http://keieikagakupub.com/38news/

——————————————————-

【YouTube】

本当に経済学は経済を良くするのか?
https://youtu.be/T7qPdljmVfg

TPPは日本の植民地化を進めるのか・・・?
https://youtu.be/ntQpHSDoyjY

三橋貴明が自らの目で確かめた中国”鬼城”の実態とは?
https://youtu.be/YkvY94zM_yc?t=4m16s

——————————————————-

【今週のNewsピックアップ】
御用学者
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12099346650.html
ローリングターゲット?
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12099719897.html

藤井聡先生の講演で、ナチス・ドイツ親衛隊(SS)のアドルフ・アイヒマンが、自らの官僚としての「出世」のために「ユダヤ人問題の最終的解決」に尽力したと聞いたとき、正直、ピンときませんでした。理由は、三橋が官僚でもなければ、出世を目指しているわけでもないためだと思います。

とはいえ、その後、様々な事象を調査し、実例に触れていくうちに、現在の日本を蝕む「出世のための官僚の暴走」が、次第に理解できるようになってきました。

例えば、以前であれば農林水産省の官僚は、農協や農家のために「農協改革」「TPP」に立ち向かったはずです。ところが、現実には農林水産省の官僚までもが、農協改革やTPPを「推進する」事態に至っています。

なぜなのか。

2014年5月に約600人の省庁幹部人事を一元管理する「内閣人事局」が発足し、首相官邸の意向を幹部人事に反映される仕組みに変わりました。

中央官庁の場合、事務次官という事務方トップに就任することこそが、全ての官僚の目標になります。同期の中で事務次官という最高位にたどり着けるのは、基本的には一人だけです。

以前は、同期の中で「誰が事務次官になるか」について、ある程度のコンセンサスが採れていたとのことです。さすがに、何十年も同じ職場で働いていれば、同期の中で「彼(彼女)が最も優秀」として、あうんの呼吸で人事感が共有されていたのです。というわけで、同期の中で最も優秀と見做された「誰か」が、人事院の勧告などを通じて事務次官の職に「昇る」のが恒例だったのです。

ところが、2014年の第186回国会において、「国家公務員法等の一部を改正する法律」が可決、成立しました。さらに、同年5月30日に、事務次官を含む官僚人事の最終決定を行う内閣人事局が設置されます。
官僚の人事権は、同期の「コンセンサス」ではなく、内閣官房が握ることになったわけです。

そうなると、さあ大変です。これまでの「コンセンサス」方式では芽がないと思われていた官僚であっても、内閣官房の「覚えめでたい」状況になれば、事務次官の座を射止めるチャンスが生まれたのです。結果的に、一部の農林水産省の官僚たちが、官邸が推進する農協改革やTPPの実現に血眼をあげる始末になりました。

あるいは、財務省は「増税」や「政府の支出削減」を推進した人が、出世の階段を昇っていく構造になっています。何しろ、増税や政府支出削減を実現した「上司」が、人事の采配を握っているのです。

というわけで、財務省は(ある人物の言葉を借りると)「緊縮マシーン」と化し、緊縮以外の政策は「出世に響く」と忌避される組織文化になってしまっています。比べるのはどうかと思いますが、SSにおいて「効率的に最終的解決を実施した官僚」が出世の階段を昇っていき、官僚たちが思考停止的に「暴走的な悪」を成したのと、構造は全く同じだと思います。

当然、緊縮マシーンと化した財務官僚たちは、「世論」「民意」という壁を乗り越え、自らの出世を実現する緊縮財政を「達成」するため、御用学者を使い、世論形成を図ります。というわけで、日本国民は財務省発・御用学者経由の情報操作により、自ら望んで、

「増税もやむなし。政府も節約すべし」

という、デフレ期には間違った政策を支持するようになってしまっているわけです。

「出世」を活用し、官僚の思考を縛る緊縮マシーンに、一般の国民は立ち向かいようがあるのでしょか。とりあえず、「沈黙」することは、ナチスの勃興を許したかつてのドイツ国民と同じ態度になってしまうことは確実です。

上記の構造を国民が知ることで、あるいは情報として共有することで、物事が良い方向に変わるかも知れません。というわけで、皆様には現在の日本を縛る「官僚の出世」の問題について、是非とも拡散にご協力いただきたいのでございます。

PS
そして地方議員は党執行部に逆らえなくなっています、、、
詳しくはこちらをクリック
https://youtu.be/8GGn_ZgqiCA

関連記事

アーカイブス

【三橋貴明】緊縮財政と公共インフラ売却

アーカイブス

【三橋号外】所得への道

アーカイブス

【藤井聡】孫子のための財政論:政治学が分かれば正しい経済政策が分かる

アーカイブス

【上島嘉郎】日本語という母国語

アーカイブス

【三橋貴明】第二国土軸の建設を

【三橋貴明】緊縮マシーンと化した財務官僚への9件のコメント

  1. メイ より

     安倍政権のやり方が恐い・・。そして、酷い。 出世を餌にして、良いようにコントロールされる官僚の皆さんが、可哀想に思えます。このような形で、当事者の方々は無意識に誇りを傷つけられてしまうようにも感じるのです。 国益を棄損する仕事をさせられる事で、「国」を弱体化させてしまったら、あるいはもっと酷い事になったら、国民が不幸になるのは自明として、官僚のお立場は、どうなるのでしょう・・? 官僚の皆さんは、きっと判って下さると、きっと気づいて下さると、信じます。 私たち国民と官僚の方々が、共によって立つ、「国」という存在は、揺るがない強さを持っていなければいけないと思う。 

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  2. コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  3. ななし より

    政府は官僚の御用聞きで、マスコミは政府の御用聞きなんですね。今の状況って、戦時下「より」酷いんじゃないですか?誰も物を考えていないように思います。インターネットがあっても、票田である団塊世代の世論は動かせません。彼らはネットを見ないので。親を見てても、職場の上司を見てても思うのは恐ろしい程テレビに毒されているという事です。新聞も読んでますが、たまにある良い記事を理解していないような気がします。言語能力が低い、思考力が低い、意識が低い。更に、続く不況によって心も荒んでいます。生活保護への批判、シングルマザーへの批判いわゆる既得権益団体への批判を聞いていると「誰かが得をするのが許せない!」という気持が、多くの人の心を支配しているのです。事態は深刻なんだと思いました。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  4. ホオシュウ より

    藤井氏を親中派とか言っているバカなネトウヨが一匹いますね。記事の内容について論理的に批判できない奴は、すぐに「常套手段」だのなんだのとレッテルを貼り付けます。これこそバカウヨの「常套手段」ですね。財務省の権力が「内閣人事局」とか、記事もまともに読めないのだから、仕方がないか(笑)。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  5. あまき より

    果たして安倍さんは本当に親中派の「天敵」なのでしょうか。「天敵」といわれましたが、たとえば安倍さんは反日工作と軍拡に使われて来た巨額の対中ODAをいまだに止めていませんね。一体その理由は何なのでしょう。あの村山さんですら制裁目的で対中ODAを止めたというのに。藤井さんが親中派の「配下」なら、その親中派は現に安倍さんの「配下」ですよね。もし親中的な人物の「配下」となって「激しく叩く」のが不快だというのであれば、世界第2位の経済大国に下位の国が増税してまで支援を続ける朝貢のごとき構図に平気でいられる神経の人と「コンビ」を組み、あるいは全体主義者であることを公然と示した人と「コンビ」を組んで憲法改正を標榜するほうがもっと不快だ、ともいえますね。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  6. ろんどなー より

    安倍政権をナチスに擬える論法は共産党と中韓がしつこいくらい使い古した常套手段なのですが・・・。最近とあるメディアで藤井さんが実は二階さんの配下にあり、だからこそ二階影響下にある大阪で勢力拡大する橋下さんを激しく叩くのだ、という話を聞き「なるほどね」といろいろ腑に落ちる思いがしました。日本一の親中派なら安倍降ろしは第一使命。しかも橋下・安倍コンビは憲法改正しそうですから、親中派の天敵。財務省の人事以前にそもそも今の財務省に本当に優秀な人材が集まるのか、という疑問もあり、そこに権力が集中しすぎているのが問題。財務省の権力は「内閣人事局」より「特高マルサ」と「財投配分権限」。緊縮財政一本やりでいながら財務官僚の天下り先である無駄な特殊法人は温存し、別の天下り先国際経済金融機関を牛耳る国際金融マフィアの言いなりなのは財務省の権限が強いから、と考えられます。デフレ脱却に財政支出も好いのですが、そもそも消費税増税の大失敗がせっかく回復期にあった日本経済をダメにしたのですから、「財務省は失策の責任を認めて消費税を5%に戻せ」と、どうして高橋洋一さん以外誰も言わないのかと疑問に思っていたら、上念さんが今朝のラジオ番組で言いました。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  7. 學天測 より

    民間しか経験がない私がよくわからないのは民間でもいろんな試みはします。だけれどもクリエイションに失敗はつきものであり、うまく言ってるかどうかマネージメントの枠組みを設けて、コントロールしていくのがまあ、普通ですね。役所ってなんでこうやりっぱなしな印象なんでしょうか?マシーンはまずいでしょう。マネージメントによる人為的な制度の調整がないといかんと思います。なにをやっとるんでしょうか???

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  8. ぬこ より

    官僚だってバカでないと思いますので、自分たちの行っている壊国行為が、やがては自分たちの雇用までも不安定にさせると気づいていると思います。かと言って、日本政府(米国)の威光に逆らって自分を貫くほど強くないのかと思います(事務次官クラスになると、政治家の様にサクッとやられたりするリスクもあるんでしょうか???)。どれだけの失業者や自殺者が出ようが、政治家(有権者)が主導する政策の結果だと言い訳にもできそうですしね。結局は政治主導の人事権と言う「建前」を利用して、自分の命を護りたいだけなんでしょうね。長い目で見れば、官も民もみんな貧困化すると言うのに。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  9. 大川沿いの隠居 より

    ご指摘の通り 「人事権」が権力の重要な位置を占めます ね。その「人事権」を可能にするものが何なのか、それぞれが考えねばなりませんね。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

最新記事

  1. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】岸田総理は上下院議会演説が米国で評価されご満...

  2. 日本経済

    【室伏謙一】首長に求められる資質は何か?

  3. 日本経済

    【三橋貴明】ついに統計詐欺に手を染めた財務省(後編)

  4. 日本経済

    【三橋貴明】ついに統計詐欺に手を染めた財務省(前編)

  5. 未分類

    【竹村公太郎】公共事業と住民反対運動 ―進化は変わり...

  6. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】「スズキ自動車会長の鈴木修氏」を後ろ盾にした...

  7. 日本経済

    【三橋貴明】劇場型総選挙、再び

  8. 日本経済

    【三橋貴明】料理と製造業は似ている

  9. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】【財務官僚イタコ曲「聞け!俺のインボイス」発...

  10. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】自民党「財政政策検討本部」講演報告 ~財務省...

MORE

タグクラウド