日本経済

2017年1月2日

【三橋貴明】お金の話

From 三橋貴明

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【今週のNewsピックアップ】
お金とインフレに関する社会的な誤解
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12232354440.html
資本主義の王道と邪道
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12232934484.html

経済成長とは何かといえば、モノやサービスの購入という
「需要」を埋めるべく、(主に)企業が投資を拡大し、
生産性を高め、供給能力を引き上げるという現象になります。

生産性向上で供給能力が拡大すると、マクロ的には
「実質賃金の上昇」という話になるため、国民が豊かになります。
豊かになった国民はモノやサービスに対する需要を高め、
さらなる生産性向上のための投資を促します。
これが、資本主義経済における経済成長の「黄金循環」です。

お分かりでしょうが、上記プロセスには「お金」が
まるで出てきません。必要なのは、需要拡大と
生産性向上であり、お金の量を増やす、ではないのです。

この世にお金が存在しなかったとしても、
上記のプロセスは成立します。人類文明は、
モノやサービスの生産により得られる「所得」の
名目値を把握するために、お金という「技術」を
利用しているだけなのです。

とはいえ、現実には人々はお金を「財産」として見てしまいます。
結果的に、お金を貯めこみ、お金の量が増えることを
「幸福」と感じてしまうのです。

もっとも、脆弱な存在である個人がお金を愛好し、
「将来不安を解消するために貯蓄する」気持ちはよく分かります。

問題は、お金を創出することが可能な存在である政府、
より具体的に書くと、
「国債発行と財政支出により、マネーストックや需要
(モノ・サービスの購入)を主体的に拡大することが可能」
な政府までもが、お金を愛好し、支出を削減。
増税により国民からの所得の分配を増やし、
需要を収縮させることが「善である」といった奇妙な
考え方が、政治を支配してしまうことになります。

理由はいくつもありますが、一つの要因として
「お金に対する無理解」があるのではないかと思うのです。

お金とは、債務と債権の記録です。つまりは、債務と
債権が「記録」された時点で、お金が創出されます。
お金という債権があった場合、反対側で必ず誰かが
「債務者」になっています。お金とは、債権と債務の増加、
すなわち貸し借りの繰り返しで増えていくものなのです。

ところが、経済学的にはお金は「財産」です。
債務者の存在を無視し、債権(資産)の部分に過剰に注目し、
経済学においてお金は語られます。

そして、「お金は財産」という価値観は、
一般の民衆の価値観と一致してしまうわけです。
結果的に、政府は緊縮財政を推進することで支持を高めてしまうのです。

この種の誤謬を解かない限り、我が国で真っ当な
デフレ対策が打たれる日は来ないのではないかと考え、
今年の前半は月刊三橋や三橋経済塾で「お金」に
ついて集中的に取り上げたいと考えているのです。

月刊三橋 https://keieikagakupub.com/38news/
三橋経済塾 http://members6.mitsuhashi-keizaijuku.jp/

—発行者より—

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【三橋貴明】お金の話への9件のコメント

  1. 學天則 より

    彼らも生物ですから不快になった時点で転換はするでしょうけどそれはあくまで結果論の話で人間としてマネージメント出来ている訳ではありません。制御し無い状態で暴走し、あちこちぶつかってると死ねますね。奇跡とか運が良いのは続きません。戦後の高度成長の奇跡が守ってきたが、貯えもつきて来ていますよ。これは日本の歴史の400年周期から見れば家康公の幕府開闢以来の400で基盤として培ってきた物がそこをつき始めたと言う事でしょうかね。無論、金の話じゃあない人の話だ、全ては人材だ。嫌がおうでも新しい400年を始める事になります。ちょうど、東西文明800年周期の入れ替わりの時期でもあります。私はここに地政学的観点も絡めて慎重に考察すべきと考えますがね。歴史の周期はあります、それを創るの恐らく地球環境も含めた大宇宙という環境なのですから。ミクロの世界でさえ原子は崩壊周期があるのです。人がこの法に逆らう事は出来ません。

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  2. 學天則 より

    世には限度と言う物がありますからね。時給800円のバイト君にマネージメント能力は期待して良いのか?そもそも、それならなぜ正規採用しないのか?パラドックスですね。お金の事に関する事は恐らく人類の基礎教養で常識。古代から偶像崇拝、つまり拝金主義も含めて物質的な物を崇めてはいけないと言うのが自明なんです、法の支配ですね。そこに服していれば自然と受け入れられる、それが常識と言う物ではないでしょうか。常識を証明しないといけない相手に常識は理解できるのか?無論、上から無理矢理という手もあるでしょうが、それは有事の時にやる手法で、普段からそれが出来る様に自ら鍛えているから成り立つお話。具体的に言えば住民自治と団体自治ですね。自衛隊も隊員が日々、意識を高くして、自ら訓練してなきゃ真に役立ちません。張り子の虎とはそういう事ですこの末期状態で快楽に支配され、そこに奢っている時点でもう駄目な人達なんです。その様な人達は快楽から享楽を続けたいのでデマを言い、都合のいい誰かのデマに快楽で乗ります。それどころか純粋に真実を見ようとする者を快楽のデマで裁き、攻撃さえします。藤井先生が最近よく言われる認知的不協和とかもこれに当たるでしょう。その様な人達のどこが問題なのでしょう?それは簡単で世界観とその認識がおかしいのです。人類は伝承である神話や学問とその代表の歴史などで、その過酷な世界観を縦軸として継承してきましたが、そこが切れている人達なんです。そこから来る常識的価値観から断ち切られた人々。そこが切れている人は神を認識できない、お猿さんと言う事です。彼らは嘘をついてその人類の一般論の檻に噛みつき攻撃するでしょう。そう言う意味では猿以下かもしれません。現時点で正気じゃない時点でだめ。ここは既に誰かにツケを押し付けて逃げれば良いと言う場ではない。ゆで蛙には解りませんが既にここは哀しいけど戦場なんです。今まで少数派にツケを押し付けて来た多数派が今度は、自らそのツケを被る番ですからね。怠惰に楽な方へ逃げてきた先食いの人達にそれは無理な話でしょう。もうこれからは誰も支える事は出来ないのですよ、残念ながらどうしようもない。そうやって阿吽の呼吸で理解してないといけない事までどうにかしろというメモを取れない人は次はリストラ部屋ですね。バイト君が店長に店の経営を教えてくれといっても貴方も相手しないでしょう。パラドックスですよ。

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  3. 學天則 より

    私が阿保とか馬鹿とかいうのは腐っていると言う事と同等の意です。中国の馬鹿の故事を語るまでもなく、馬鹿の定義は真実をごまかし見る事をしない。もはや自分に対してさえ、とことん不誠実で不純な嘘つきなので意思決定を間違って自ら地獄へ落ちる連中です。過去を知り、まともな意思決定すれば過去のどんな時代も楽をしていて助かるはずがない。道が二つあるなら苦難の方を選べ、過去の偉大な先人達は言っている、経験は大事です。はたして今の若者はどうでしょう?彼らはどちらを選んできたのでしょう?何が道徳で倫理かさえ人類は多くの積み上げがあります。いわゆる数千年の歴史に鍛えられた経験たる常識であります。そこを無視したレメクの身勝手な法も含め、あらゆる規範は、滅びを招く腐敗でしかありません。人の支配は嘘です。

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  4. 學天則 より

    私が阿保とか馬鹿とかいう事が腐っていると言う事と同等の意です。中国の馬鹿の故事を語るまでもなく、馬鹿の定義は真実をごまかし見る事をしない自分に対してさえ、とことん不誠実で不純な嘘つきなので意思決定を間違って自ら地獄へ落ちる連中です。過去を知り、まともな意思決定すれば過去のどんな時代も楽をしていて助かるはずがない。何が道徳で倫理かさえ人類は多くの積み上げがあります。いわゆる数千年の歴史に鍛えられた常識であります。そこを無視したレメクの身勝手な法も含めあらゆる規範は、滅びを招く腐敗でしかありません。

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  5. うーん より

    三橋さん、以前にも増して、感覚的で厳密さを欠いた議論が目立つようになってきたな…忙し過ぎて、学術性の高い専門書をじっくり読み込んだり、統計データを自分で分析したりするまとまった時間が無いのかな。客観性の高い情報提供に価値を感じてた読者層が離れていかなければいいけど。

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  6. 神奈川県skatou より

    >その様な事を理解するのはお金は手段で>目的ではないと覚めた目で見れるだけの>純粋な心を持った、きっちりした>マネジメント能力が必要不可欠だからです。三橋先生の語り掛ける内容を受け取り、理解し、己がモノにするのは、もしかすると若者であるべきかもしれないと自分は考えてます。若者、つまりは20代かそれより若い人たちですが、彼らはいわゆる大人、社会人と異なり、自分はなにであるか、そして同時に社会とはどういうものなのか、チープか否かは別として、形成されたものを保持する前か、保持しようと奮闘しているのが通常でしょう。逆に大人というのはその構造があるので、あるゆえに安定的に社会人として存在できているので、新しい考え方を受容するときに、つねに自分のなかにすでにある構造との関係性を作る、結びつける作業になってしまいます。もしその内なる構造が強固であり、新しい考え方との結びつきが困難な場合、受容に失敗するか、あるいは再利用できない残念なルールで結合してしまう、つまりは知ってるけど使えない知になってしまう可能性が高いかもしれません。ならば若者、まだ「我は何」について不安定であり、それゆえ、より普遍的なお話を求める、それは自分の時間、空間的拡大でしょうから希求するはずなのですが、そのような姿勢ならば、先生らのお話が選考される可能性が高く、また彼らの知的構造の深いところにembed(埋め込み)されることになるのだと思うのです。ただそれら若者の層というのはそれ向けに語り掛ける話し方をする必要がありますし、それ以上に問題なのは彼らが「学校」という社会構造に囚われているということです。学校に乗り出すか、奪い取るかという話になります。>時間という資源は有限です、残された10年余りをそれを>使って何をやる冪かが問われています。とにかく、どんどん>腐敗する世ですが流されず純粋でありつづけ真面目に学び、>向上する事が大事になる時代でしょうね。腐敗する、の意味ですが、たぶんいろいろ込められているのだと思いますが、それはルールを守らない、倫理を尊重しないという意味ではない、のように私は受け取れました。というのも、20年以上前、自分の師匠の言っていた「日本人が溶け出している」といった表現と似ているからです。自分はその話をずっと考えているのですが、それは形式として社会を作っている、目に見える、見えないなにかが、人々からどんどん失われている、それが不可逆的であり、そのなにかを失うことが、人の世の、文化の、文明の、維持・再生産を不可能にしてしまう、という恐れ、なのではないかと考えています。そのとき、人の定義が変わるとすれば、それは過去の定義から観た人類の終焉ということになりそうです。自然界としては、それでいいのかもしれませんが。。。(かつ自然科学の限界)人間あるいは生き物は「べき」の存在なので、それに反発するのも、生き物らしいと思いますが(私の希望です)。

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  7. 學天則 より

    そのお金の誤解を多数の腐敗した一般大衆に対して解くのは、ほぼ不可能です。その様な事を理解するのはお金は手段で目的ではないと覚めた目で見れるだけの純粋な心を持った、きっちりしたマネジメント能力が必要不可欠だからです。中央にいらっしゃるとわかりずらいのかもしれませんので、お住いの地方自治の現場でもよろしければ参加してみてください。末端の議員も人も腐敗した阿保ばかりです。選ばれている政治家の質ですね、マネジメント能力の無い多数者が自分と同じでマネジメント能力の無い政治家を選んでいます。民主制は選挙で政治家を選ぶ制度ですが、選ぶ人が腐敗し、まともな人材を選ぶ能力がないのでは制度は機能しません。実は制度問題は大阪では維新が先ではないのです。この制度問題を区政会議という地域参加型の会議を5年ぐらい前、平松大阪市政でやる事になりまして、私はいくら行政区役所に権限や財源を渡して会議をやっても、力量が上の役所の方が主導する形になるので、その様な形では住民自治は機能しないよ、しっかり住民組織が指導していける分厚く広い住民組織作りがまず大事と組織論からその様な経営をしろと指摘しましたけど、5年程たった今、その問題点が区政会議で露呈してさえ、まだ大阪市では特別区や総合区といった制度論をやっているのです。理由はおそらく維新にしろ、大阪自民党にしろ住民の代表が低レベルなので役所に舐められ切っているのでしょう。権力をマネジメントするのは形式的な制度ではなく、たしかな実力ですから、だから制度で実力者の役所をしっかりおいて上から管理する事になると言う事でしょうね、これは帝国日本が先に制度を先行した結果からも解る話。更にわかりやすく、現在はそこから更に進化?していき、地域まで役所が管理して、極論を申せば一家に一人、管理に役人が同居しそうと言う事です、家族も崩壊していますしね。多数の一般大衆にマネジメント能力がなければ行政の支配はどんどん強くなるでしょうし、現実そうなっていますよね。その様な大衆に主体的に何かを理解する能力は無い。80年(40年)、70年、日本の歴史には周期があります、何故でしょう?AIの時代はともかく、これまでのどんな制度も要は人です。秩序の安定は同時に人間がそこから腐敗していく事でもあります。三橋さんや藤井先生達が出来る事は腐敗した多数の人や今の社会は救えない事を理解し諦めて、歴史の必然として新たに始まる世で活躍する少数の良識ある人を育み、助けるような方を中軸に考え、その為の時間稼ぎに今の世の延命を図るだけでしょうね。崩壊後の次の歴史のサイクルが更に酷い物になると言う事は十分ありうるでしょう。その辺が攻防の要でしょうね。歴史の周期で言うなら戦後70〜80年の現在は一つの時代の崩壊期ですし、その兆候はあちらこちらに出ている。既に最後の10年が始まっていると見るのが妥当でしょう。2030年頃までには今の世が、がけが崩れる様に崩壊し完全に終わりをむかえるでしょうし、最悪、戦争をまたやるかもしれません。時間という資源は有限です、残された10年余りをそれを使って何をやる冪かが問われています。とにかく、どんどん腐敗する世ですが流されず純粋でありつづけ真面目に学び、向上する事が大事になる時代でしょうね。そうでない多数のゆで蛙な人は自ら破滅していくだけで、助けようがありませんよ。既にその日々を純粋な己を磨いてきたかどうかの蓄積が問われている段階に入っているのですらからね。どこまで何をできるか?どうするのか、しっかり現実的で可能なタスクを絞っていく事が大事ですね。多数の大衆は完全に脳みそがとろけていますよ。どうにもなりません、これは運命です。人が愚かだから歴史は繰り返すのだと思いますから。

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  8. nagado より

    日本銀行権は債務の記録ですが、日本国が貨幣を発行すればそれは財産となりますね。おカネとは国が国民に対してモノやサービスを請求するものであり、借金札ではない。おカネとは国の血液のような役割であり、商売の道具にしてはいけないと思います。

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  9. LGX より

    「お金とは、債務と債権の記録」を裏書きする話として、仮想通貨ビットコインの基礎技術であるブロックチェーンが取引記録の証明・保証技術である事を思い出しました。「お金とは、債務と債権の記録」とは、数学的真実なのですね。

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