アメリカ

2017年1月20日

【三橋貴明】新時代が始まる

From 三橋貴明@ブログ

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【オススメ】

日本が国連に2億ドル払える理由
財政赤字国のどこにそんな大金が?
TVが放送を自粛する意外な真実とは
http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag.php

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1月22日(日)、三橋経済塾第六期の
第一回対面講義が開講となります。
http://members6.mitsuhashi-keizaijuku.jp/

 ご入塾頂いた皆様、一年間、
なにとぞよろしくお願いいたします。

 本日はチャンネル桜「Front
 Japan 桜」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1651

 昨日は、草加市で講演だったのですが、
首都高速が空いていたため、近い近い。
草加市は、外環自動車道、首都高速川口線、
首都高速三郷線と、三本の高速道路に囲まれているのです。

 さらに、市の真ん中を東武スカイツリーラインが
通っているという立地の良さであるため、人口が増えて
いるそうです。以前は東京のベッドタウンだったのが、
今は工場建設も少なくないとのことでございます。

 交通インフラの威力を、まざまざと見せつけられた気がします。

 さて、本日、アメリカ合衆国において、
ドナルド・トランプが第45代大統領に就任します。

 トランプは、フォードやトヨタのみならず、
BMWの「メキシコ新工場」にも噛みついていました。

『独BMWにも「35%課税」=メキシコ新工場を警告−トランプ氏
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017011600292&g=int

 トランプ次期米大統領は15日付ドイツ紙ビルト
日曜版のインタビューで、高級車大手BMWが
メキシコで計画する新工場で生産され、米国に
輸入される車に35%の税を課す考えを明らかにした。

 トランプ氏は「(BMWが)米国に輸出する際、
1台ごとに35%の税金を払うことになる」と警告。
「米国内に工場を造るべきだ」と主張した。

 さらに、米国内ではドイツ車をよく見かける一方で、
独国内で走る米国車は少ないとの持論を展開。
「一方的で不公平だ」と不満を示した。 

 トランプ氏は税制改革により、米国外に拠点を移す
自動車メーカーなどに35%の税を課す考えを表明。
トヨタ自動車にも課税をちらつかせて米国内での雇用創出を迫った。

 BMWは建設中のメキシコ新工場で、2019年から
世界市場向けに「3シリーズ」を生産する計画。』

「米国内ではドイツ車をよく見かける一方で、
 独国内で走る米国車は少ない」

 わたくしは主にセキュリティ上の理由から、ドイツ車
(BMW7シリーズ)に乗っていますが、正直言って、
首都圏で乗り回すには大きすぎます。立体駐車場も
入らないところが多いのです。

 その上、日本は「小道」「路地」があちこちにあり、
電柱も乱立しています。路上駐車の車と電柱の間を
縫うように、対向車とすれ違うという「離れ業」を
必要とするのが、日本の道路事情なのでございます。

 しかも、BMW7シリーズは、対抗物が接近しすぎると、
ピーピー警告音を発するので、姦しくて仕方がありません。
警告音は設定で変えられるのかも知れませんが、
緩めすぎると逆に意味がない機能になってしまいます。

 いずれにせよ、自動車とは「環境」に適しているか
否かによって、利便性が変化する製品なのです。
わたくしはセキュリティ及び「高速道路(やたら高速に
乗ります)の走行安定性」という理由でBMWに
乗っていますが、大きさ的には限界です。これ以上、
大きくなると、さすがに乗り換えはしないでしょう。

 ともあれ、東京都内を車で走っていると、やたら
ドイツ車を目にします(印象としては三割程度)。
それこそ、トランプではないですが、

「日本国内でドイツ車をよく見かける」

 わけでございますが、それはBMWやメルセデス・
ベンツ、VW・アウディが、製品を「可能な限り、日本
市場に合わせ、サービス網を充実させた」結果なのです。

 当たり前ですが、日本を走っているドイツ車の
ほとんどは右ハンドルです。(ウィンカーとワイパーが
日本車と逆になっています) 右ハンドル車、あるいは
日本の道路事情に合わせた製品を投入しない以上、
日本国内でアメリカ車を全く見かけないのは、
これは当たり前でしょ、という話です。

 わたくしは、トランプの「対外直接投資&逆輸入」
批判は、アメリカの国民経済を考えたとき、方向性は
正しいと評価しています。とはいえ、トランプの発言
から見え隠れする、アメリカ第一主義の向こうにある
「国家エゴイズム」。何となく、将来的な
「対日市場開放圧力」を予感してしまうのです。

 日本の自動車市場は、すでにアメリカ以上に開放
されています。何しろ、アメリカは自動車に関税を
かけていますが、日本の自動車の関税率はゼロなのです。

 日本でも、現地の事情に合わせた製品を投入し、
サービス網に投資をすれば、「外国車」であろうとも
売れます。ドイツ車の成功が、何よりの証拠です。

 GMやフォードであっても、ドイツ車に倣い、
投資をしていけば、日本市場の「開拓」は可能なのです。
とはいえ、少なくとも過去のアメリカ自動車メーカーは、
市場開拓の投資を疎かにしていました。左ハンドルの
巨大なアメ車が、日本市場に受け入られるはずがない
のですが、それを「日本市場の閉鎖性」が原因であると、
責任を市場側に押し付けていたわけです。

 ドイツやBMWにしても、アメリカ企業の
市場開拓のための努力不足の結果を、
「一方的で不公平だ」
 と断じられてしまうのではたまったものではないでしょう。

 とはいえ、トランプの「アメリカ第一主義」が、
「アメリカ市場において、アメリカ国民の雇用を創出
する」にとどまるのか否か、現時点では不明なのです。

 TPPは本日、アメリカが離脱通告をすることで
終焉となるでしょうが、トランプは「二か国間協議に
切り替える」と言明しています。日米二か国間協議に
おいて、アメリカ側が国家エゴむき出しの交渉を
迫ってくる事態は、普通に考えられます。

 いずれにせよ、新しい時代が始まります。
日本は今日から始まる新時代において、
繁栄の道を進むことができるのでしょうか。

 などと、他人事みたいに言っていても仕方がないので、
わたくしは新時代における日本国の繁栄のために、
今後も自分ができることをやっていくつもりでございます。

—発行者より—

【オススメ】

2016年は激動とも言える一年だった。

イギリスのEU離脱(ブレグジット)、
アメリカ大統領選挙のトランプ氏の勝利、
さらにはフランスやドイツでテロが多発した。

これから世界はどうなっていくのか。
その中で、日本はどう動くべきなのか。

三橋貴明が思考停止の世界と日本を目覚めさせる。

月刊三橋最新号
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【三橋貴明】新時代が始まるへの1件のコメント

  1. 學天則 より

    何を真の敵の据えるかによって、日本には最低3つの選択肢があると思うのですよね。2つは主体性がない、1つは主体性が必要になる。真の敵の定義ですよね、それ次第。これは先にも述べましたように三段論法はより大きな論を枠にして始めると言う事でしょう。世界観の捉え方次第と言う事で自分で考え、自分で選択して頂きたい。というか今まで私が書いてきた事ですね。高橋氏が金融緩和の効果について語る記事を書かれていますね。私はディーセントワークと申し上げておりますから、10年前からですが何が雇用かという定義に尽きますね。ILOの基本条約の枠で考えると日本の非正規雇用を雇用と見なしていいのか?どこかで線引きしないとプランテーションの黒人奴隷も雇用になりかねない。私なんか民間IRの如き物の見方が保守的ですから昔と違う臨時ではない非正規が終身雇用だと宣う人がいる昨今非正規はなるべく雇用と見なさない立場を取ってますので非正規率が上がっているのであるならば雇用の質の劣化から不景気と言ったりも出来るのかと思ってしまいます。非正規雇用者の中には正規を希望する人が正規雇用総数の1割はいますでしょうし、その率で失業者中の正規希望者を単純算出しますと加えまして正規の希望の失業率は10%は超えそうですね。正規の総数は安倍政権発足前の1年前の11年から誤差範囲で足元の数値はなべ底打った横ばいで変わっていないでしょうし、団塊世代の引退で減っていった正規を将来の人手不足を見越して、新卒採用で補充しているようにも見えなくもない。圧倒的に増加しているのは非正規ですが、非正規の増加が頭打ちなのも人手不足を裏付けているのか?とにかく簡単に言い切れる物ではないでしょうね、この辺は。重要な視点はマネジメントは中長期の運用視点であって、目先の数値の形式論ではないでしょう。これだけの人が正規になれない現状が国の行く末をどう左右するのか?他人事ではない主張をされているのでしょうかね?経済学者というスチャラカ野郎どもはね。あまりにも主張が簡単すぎて軽すぎて嫌になります。

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