【土方翔】守るべきもの

FROM 土方翔(ひじかた かける)@作家&経世論研究所研究員

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昨年末に続き、今回で二回目の本メルマガ投稿となります。土方翔と申します。

【前回の投稿コラム】
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2013/12/29/mesinfo-2/

前回は三橋経済塾塾生としての投稿でしたが、この度、言問吾妻(こととい あづま)さんと共に株式会社経世論研究所の所属作家&研究員となることが決まりました。とはいえ実績はなく、まだまだ半人前であることには変わりありません。至らない点も多々あるかとは存じますが、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

というわけで、本日のコラム。テーマは「守るべきもの」。

まずは仕事のお話から。
今年2月末、仕事の関係でサウジアラビアへ行ってきたのですが、この時期はベスト・シーズンということで、デザート・キャンプに招待されました。

デザート・キャンプとはその名の通り「砂漠でのキャンプ」でして、車で30分程先にある会社所有のキャンプ場で食事を楽しむというものです。もちろん周りは見渡す限り砂漠x3。砂漠はサラサラというよりは、岩が交じったゴツゴツとした土漠(どばく)と呼ばれるものです。

移動途中ではキャメル・マーケット(ラクダ市場)なるところへも立ち寄りました。近くで見るラクダちゃんたちは綺麗な瞳に長いまつ毛、愛くるしい口元と確かに可愛いのですが、マーケットで売り買いされていることを考えると、日本でいう犬や猫のような愛玩対象ではないのでしょう。動物愛護団体の方へは決してオススメできない場所です。

キャンプ場に到着後は、以下3ステップの順に進行しました。
1.      焚き火を囲む形で、砂漠に敷いた絨毯に全員であぐらをかき、アラブ流のお茶会がスタート。
アラビック・コーヒーとデーツ(ナツメヤシの実)はいわば定番の組み合わせです。
2.      日没後、砂漠の真ん中で横になって天体観測。2月はサウジでも気温が朝晩10℃以下になるのですが、その寒さが気にならない程、星が近くてキレイでした。
3.      最後は、大皿に盛られた「カプサ(Kabsa)」を囲んでの食事。カプサとはサウジの伝統料理で、米と肉(サウジは豚肉がだめなので、大抵は羊か鳥肉)の炊き込みご飯のようなものです。

簡単ではありますが、以上が今回出張の合間に体験したデザート・キャンプの流れです。異国のサウジ文化に直接触れる中、先達が連綿と積み重ねてきたもの= 文化・伝統に対して畏敬の念を頂くからでしょうか、自国の文化を見つめ直す大変良い機会となりました。

私は、そうした固有の文化が残る世界で互いの価値観を尊重しながら生きることが、豊かな人生を送る上で大切な要素だと思いますし、私が守りたいものは、恐らくその辺りにあるのではと考えております。

本日は、その「積み重ねてきたもの=文化・伝統」を毀損させる可能性があるという点で、デフレの恐さについて改めて考えてみたいと思います。(前置き長くてスイマセン…。)

現在、デフレの原因を需給ギャップに求めるかどうかで、政策面における様々な議論が展開されていることは皆さんご承知の通りです。一方で、その根源にある思想が隠されてしまうと、某経済御用学者のトンデモ理論もある程度は筋が通っている(ように聞こえてしまう)為、それがデフレ理解を妨げている一つの要因ともいえそうです。

そこで!
青木泰樹先生がデフレ原因の解釈を以下4つに分類されておりますので、是非とも参考にしてみて下さい。
【需給ギャップとデフレ】 http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11573899021.html

1.      デフレの原因は「総需要不足である」とするケインズ経済学
2.      デフレの原因は「純粋に貨幣的要因である」とする新古典派経済学
3.      デフレの原因は「マネー不足である」とするリフレ派
4.      デフレの原因は「日本経済固有の構造問題である」とする立場

と、デフレ脱却は誰にとっても共通の目的である(と思いたい)ものの、その政策においてはそれぞれの立場で解釈が異なっているのが現状です。それは例えば、経済学がビジネスとして利用されていることや産業化してしまっていること、ケインズに死んでもらわないと困ってしまう人(?)がいることが理由として挙げられるかと思いますが、少なくともデフレ脱却に「万能薬はない」ということだけは確かなようです。

中野先生は著書「日本防衛論」の中で、日本経済が現在直面している大きなリスクとして、「ユーロ危機」「アメリカの景気後退」「新興国の構造不況」「地政学的変動」「気候変動」「地殻変動」を挙げられています。15年前と違い、覇権国家が消滅したGゼロの世界では、自国のデフレ脱却に向けたより高度な舵取りが要求されているといえます。
【参考書籍】日本防衛論 http://www.amazon.co.jp//dp/4047315923

この中で、特に私が注目しているのが、「ユーロ危機」です。それは、この「ユーロ危機」をきっかけに人類の文化水準が著しく衰退するのでは危惧しているからです。

どういうことか。

「ユーロ危機」が発生するということは、リーマンショック以上の世界同時不況、すなわち「世界同時デフレ」の可能性をも孕んでいるものです。そして一旦デフレ環境に陥ると、負債の返済と支出の削減をしようとする心理が人々に働き、非効率部門を淘汰して効率性を高め、生産性(=労働者一人あたりの付加価値)を向上させようという動きが高まります。

資本主義の世界で生きている私達にとって、「生産性を高める」というのは何とも耳触りが良い。個人やビジネスで考える分には、美徳すら感じます。しかしながら、所得(GDP)が増えない一定のパイで、もし個人が合理的に行動すればするほど・・・、とこれはもうご存知の方も多いと思うので割愛します。(詳しくは、三橋経済塾経済研究部部長のコラムをご参照ください。国民経済を学ぶ大切さがここにあります。)
【荒波レイ】 “脱・新自由主義” http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/02/16/mesinfo-3/

「非効率部門を淘汰する」ということは、個人レベルでいえば何かを「捨てる」ということです。「捨てる」という行為にはある種の快感が伴います。部屋の整理をする過程で、とても清々しい気持ちになった経験をお持ちの方も多いはず。

でも、考えてほしいのです。

「捨てる」ということは、別の面で見ると「何を残すか」ということです。そして何を残すべきかを考えることは、「何が大切か」を考えることです。「何が大切か」が分かっているからこそ、「守ること」ができますし、同時にそのために「戦うこと」ができるのではないでしょうか。

(15年間も!)デフレのトップランナーとして効率性を追求し走り続ける中で、日本国民は「何が大切か」「何を残すべきか」を考えることなく、ただ捨てることに邁進してきただけではないか。それによって価値観が歪められた結果、日本中で自己喪失、自己不在が起きているのではないか。すなわち、デフレの恐ろしさとは「人間の価値観を破壊させること」にこそあると思えるのです。(「捨てること」事態を否定しているわけではなく、飽くまでもその「動機」に問題があるということです。)

もしそうであるなら、「ユーロ危機⇒世界同時デフレ」が長い伝統、文化、歴史に対する価値観を崩壊させるきっかけとなり得るのでは、と前述の懸念に至ったわけです。文化は価値観が共有される土壌があってこそ形成されるものだと思いますし、そのためには国民を豊かにする「経世済民」の達成が不可欠です。

「アリとキリギリス」でいえば、キリギリスのバイオリンの価値を認める余裕がアリにある、そんな世の中でしょうか。冬にキリギリスが凍えて死んで、アリも働き過ぎて死ぬような世の中は、私はまっぴら御免です。

というわけで、文化面からデフレの恐ろしさを考えてみました。
(なお、価値観=イデオロギーではありません。ここ、大事なとこです!!)

理屈でもなく、ましておカネでも計算できない価値観(≒生き方)の追求においては、デフレ脱却を妨げる「合成の誤謬」は起きないはずです。であれば、いっそのこと個人レベルで「合理的経済人」ならぬ「情緒的文化人」を目指してみてはどうでしょうか。

経済の難しい話はさておき、新年度が始まりましたし、気分転換にまずは部屋の掃除をしてみるのも良いかもしれませんね。「何を捨て」「何を残すか」と向き合う過程の中で、「大切なもの」「守るべきもの」に気づければ、それが案外デフレ脱却の道に繋がっているのかもしません。

PS
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